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魔法の腕時計
最近の日課は、バイト終わりに駅のデパートに寄ること。
暖かそうなマフラーや手袋、かわいいお菓子の品々に、目を惹く日用品雑貨のあれこれ…、クリスマスの時期のお店は目移りしてしまうほど素敵なモノで溢れているけれど、私は一切足を止めず、一直線にあのお店へ向かう。
エスカレーターを登ってすぐの4階の時計屋さん。
そのレジの側に置いてある小さなケースにしまわれた品の良い小さな腕時計。
飾りはほとんどないけれど、デザインは洗練され、はめ込まれた小さなクリスタルは夜空に光る星の欠片のように輝き、文字盤の中央に使用されている天然パールは光を跳ね返して七色に煌めく。
私は昔からよくモノに一目惚れをした。
一目惚れをしたモノは買った後、何年経っても、ボロボロになっても使い続けた。
見た目が衰えようとも、そのモノの価値は私の中で変わらなかったからだ。
でも、旅行先のお土産と同じように、買った時はものすごく光り輝いて見えていたのに、家に帰って見てみるとその輝きは失われている、なんてことも結構ある。
お買い物はそれを見極めなければならない。けれど、見分けるのは至難の技だ。
それに、この時計には値段が書いていなくて、いざ買うとなって手に入らない額だったらと思うと、怖くて手が出せないでいた。
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