再会

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再会

腕に付けてみる。 サイズはぴったりだった。 付けてみると不思議なほど自分に馴染んでいて違和感が無かった。 その日は興奮してなかなか眠れなかった。 それから何日か身につけて過ごしたのだけれど、変わったことは特に何も起こらず、いつも通りの日々が淡々と過ぎていった。 だから、おじいさんに言われた言葉はもうすっかり忘れていた。 年末、私は久しぶりに、実家に帰ることにした。 バスと電車を乗り継ぎ約3時間。 長旅のため私はかなり疲れてウトウトしていた。 駅のホームに降りて、ポケットに手を入れてそこで気がついた。 外は雨が降っていたので時計は外してポケットに入れておいたのだ。 その時計がなんとポケットに入っていない。 きっと、電車の中に落としたのだろう。 慌てて振り返ると、閉まりかけた電車のドアの間から背がすらりと高い細身の男の人が降りて来た。 男の人は肩で息をしながら 「あの…、これ、忘れ、物です…」 と腕時計を差し出した。 男の人は顔を上げたとたん目を丸くして固まってしまった。 もちろん、私も驚きで動けなかった。 「杉崎くん?」 私はやっとのことで声が出せた。
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