虎崎五太郎という男

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《4》  兎美は両手で真田の両足を持ち、引きずって保健室を目指す。 「重っ!? 何キロあるのよこの人!」  ムッキムキの真田を引きずるのは、女の子の力では骨が折れる。  十分程かけ、保健室の前へ。 「さて、ここで」  ーー真田先生が保健室の前で鼻血を出して気絶してますよー。 「これで良し」  そのまま走って姿を隠す兎美。  その後すぐ保健室にいた先生が扉を開け、倒れている真田を発見した。 「さ、真田先生どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」  保健室の先生は、兎美の様に両足を持ち保健室の中へ運び込む。  運び方は雑であり、入って行く時扉や柱に頭をぶつけまくっていたのだが、それはまぁ置いておいて、そこまで見終えると一安心の兎美。 「さて、それじゃ私もサボるとしますか」  兎美は虎崎の事を思い出す。 「あー……残念ながら、行き場所まではなぁ……読んでおけば良かった」  ま、仕方ないか! そう開き直る。 「虎崎五太郎くんーー面白い心してたなぁ。あんな人初めて見たよ。彼とは、仲良くなれそうだね」  そう口ずさみながら、兎美も入学式をサボる事に成功したのだった。
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