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図書
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神楽「そっか…」
莉乃「そうです」
神楽「いやぁ…詳しく聞けて良かったよ報告書だけじゃ分からない事もあるから」
ソファに深く腰掛ける
莉乃「そうなんですね…」
神楽「にしてもまだ死んで間もないのに随分落ち着いてるね…」
莉乃「そこまで生に執着してないので…むしろ執着出来なかったというか…」
神楽「…ここでも?」
莉乃「どうでしょう…というかもう死んでるじゃないですか」
神楽「そうなんだけどね…ここにも自殺ってあるんだよ」
莉乃「えっ?」
神楽「ある所に行くとね、一面真っ暗な穴があるんだ。そこに落ちるとこの身体も意識も全て消失する…ある意味本当に死ねる場所なんだよ…色んな環境が整ってて何一つ不自由のないこんな場所でも地獄のように思う人だっている…」
神楽の言葉を聞いて識の発言を莉乃は思い出した。
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識「天国か地獄かなどは個人により、天国にも成りえ地獄にも成りえる…それがこの場所です…」
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莉乃「……識さんが言ってた…」
神楽「あぁ~…識に越されたか!もぅ!」
頬を軽く膨らませる神楽
神楽「あ、識で思い出した!あの娘図書館行ってるでしょ?」
莉乃「えっ、はい…」
神楽「ちょっと芽依と一緒に迎えに行ってくれる?」
ふとソファの影から芽依が現れる
芽依「え、また私?」
神楽「そう私ー、神楽さんはちょっと忙しいくてねぇ、ついでに莉乃ちゃんに街案内してあげてよ」
芽依「街案内する距離じゃないでしょ……まぁいいや、後で報酬ね」
神楽「はいはい、いってらっしゃーい!」
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莉乃「にしても何で迎えなんて?」
芽依「…あの人方向音痴でね、行きは『本が私を呼んでる』なんて意味不明な事言うんだけど帰りはその導が無いから帰れないんだと」
莉乃「……凝った設定だね」
芽依「ほんとね…」
莉乃「って…図書館すぐ近くじゃん!」
気づいた時には既に図書館の前に来ていた
芽依「そう、4回道を曲がるだけで着くの、多分200mも無いくらい近い…」
莉乃「重症だね」
芽依「…否定はしない…うーん…時間的にまだ出てこないから下のフロアでも案内するね」
莉乃「はーい」
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1F
芽依「ここが…いわゆるラノベとか扱ってるフロア」
莉乃「へぇー…てか図書館なのに喋って良いの?」
芽依「うん、ストレス削減の為に個別に隔離空間が設けられてるからね…とりあえずここは私らに関係ないから━━━」
莉乃「あ!これ読みたかったやつ、死ぬ前にちょっと気になってたんだ!」
芽依「…ラノベ読んでたの?」
莉乃「うん、バイト代の3割はラノベ購入に消えるくらい!」
芽依「…面白い?」
莉乃「全部がそうって訳じゃないけど…私は読んでて楽しいものが多かったかな、特に異世界もの」
芽依「異世界?中途半端なヨーロッパっぽい建物だったり、なぜかRPG風のステータスが見えるアレ?」
莉乃「…うん、だけど芽依ちゃん異世界もの嫌いなんだね…」
芽依「…………それ借りるより買った方が良いよ…帰り本屋寄るからそっちで買お…」
莉乃の腕を引っ張り階段を昇る
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