守の訪問

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親友多喜の教え子で、奥さんの梨帆ちゃんのお友達の田淵正夫(たぶちまさお)くん。 現在アメリカニューヨークに住んでいる。 流暢な英語を話し、今は絵本の翻訳の仕事をしている。 彼はモデルのレナちゃんと結婚している。これまた羨ましい。日本では俺のうちにも遊びに来てくれたし、こっちからも遊びに行こ~!と思い、夏休みに一人で渡米! 手術以外の用で来たのは初めてっ!ドキドキっ!いつもの突撃訪問っ!いきます! 英語は割と話せるから大丈夫だけど、田淵君いなかったらどーしよ!でも、 とにかくっ! 住所知ってるし、行ってみよ~ と意気込んでいたものの、たどり着いた場所はちょっとボロいアパート。 レナちゃんは売れっ子モデル…でしょ? とにかぁく!チャイムを押してみた。 ピンポーン。 「はい…?」 やった!田淵くんいたぁ~! 「多喜ちゃんの友達、足助守(あすけまもる)だよっ!」 「ええっ!?…お久しぶりです」 「ねーねー今日泊まりたいなぁ」 「んな急な。無理ですよ」 あっさり断られた。…日本とは多少人格が変わってるっ! 「そこをなんとか…!」 「…あっ!おばあちゃんとこはどうですか!トムのおばあちゃん」 なぜ……生き生きしてるんだ…? 「いや…あの田淵くんとこがいいなぁ…?」 「え?大丈夫ですって。おばあちゃんの料理は世界最強ですし、俺が前住んでた部屋もありますから」 「でも!田淵くんに会いに来たのに…。なんか切ないよ…」 「すみません…でもおばあちゃんのうちは広いし」 意外におばあちゃんっ子…!?でも友達のおばあちゃんだし…? 「田淵くん、おばあちゃん好き…?」 「はい!」 えー即答……。 「おばあちゃんは、俺のことよく考えてくれるし…それにほんとのおばあちゃんだと思ってます」 目が輝いてる……! 「ただいま~!」 ここでレナちゃんが帰宅! 「レナちゃん、おかえりー!」 「守っ!久しぶり~!」 いきなりのハグですか! やっぱりなんか、照れる~ 「ねー今日泊まりたいんだけど…だめ?」 「家にベッド1個しかないよ?守寝るとこない」 「俺ソファーでいいよ」 「ほんと!じゃあいいよ!」 「レナ!お客様だし…だめだよ」 「でも~ソファーが伸ばせてベッドになるんだよ~」 「そっか。じゃあ俺らがソファーで、守さんはベッドどうぞ」 「荷物持つよ。守!」 いつの間にやら泊まれることに。さっきまで玄関で立ち話してたってのに。 にしてもさすがアメリカ。 土足…慣れない~ 「お部屋ここ使ってねっ」 ダブルベッドのある寝室…。うわぉ!いいのか? 「守ご飯食べたの?」 「うんっ!外で食べきた」 「じゃあー先にお風呂入っていいよ~」 「ありがとう。優しいなぁ」 お風呂は…な…なんと泡泡のアレ! 「すげぇ~」 つい興奮…しちゃうよねー そうだ…俺は田淵くんのキス魔について調べに来たんだった…! 梨帆ちゃんと多喜ちゃん曰わく、彼はキス魔なんだって…! 日本ではそんなことなかったんだよね~ 気になる~ もしや、俺日本人だから気にすると思ってる? よっしゃ!いいこと考えた! お風呂を上がってリビングに行った。二人はテーブルで食事していた。 「ねぇ、田淵くん。気を使わないで」 「…え?飯食います?」 「違うよ…いつも通りにして。俺のこと気にしないで…!レナちゃんもっ!」 「なにがー?」 「ハグとかキスとかいつもしてるんでしょー?俺がいるからって遠慮しなくていーよ」 「……バレましたか…」 えーやっぱ! 「バレバレっ。テレビ見よーっと!」 彼がどんな日常を送っているか気になるので… リビングのソファーに座って様子をうかがうことにした。 ら、 彼は…やはりキス魔だった…! 「レナ、今日のミートソースうまかった」 ちゅっ とか 「片付け私やるよー」 「いいよ、俺やるから」 ちゅっ 「正夫ありがと〜助かるよ!」 「いいよ」 ちゅっ うわ…見てらんないっ。せめてほっぺにしてよね。 赤面する俺。 身長は田淵君が小さくて、レナちゃんが大きい。その差は、約10センチってとこかな。 ちょうどレナちゃんが座ってたり、屈んでたりしたときにねらってるようだ。 てか、俺のこと無視しすぎ。 アメリカでは、逆にいじめられているような気分になった。 今度は、多喜ちゃんと来よう。 あいつ英語しゃべれないから。 おもいきりいじめたい。いや、いじめてやる。
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