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許して!
「正夫たいへーん!」
「は?何が?」
「これ、落としちゃった!」
それは、豚の貯金箱だった。俺の。
ただし割れている。
「なにしてんだよ!俺の大事な貯金箱なのに!」
「だってぇ~これ空っぽだったから落ちたんだよ?しょうがないじゃん!」
なんてことだ。謝る気がない!
「ふざけんな!レナの不注意で落としたんだろ!」
「もう!そんなにそれが大事なの?」
「当たり前!今から貯金するためのものなんだよ!」
「レナより大事なの?」
「は?当たり前!」
「ひどい…!もう、正夫なんかキライ!大っ嫌い!別れてやるっ」
「な、なんでそうなるんだよ!」
「バカ!ひどい!最低!」
「おい、落ち着けよ!」
「正夫最低!」
これは困ったな…。どうしたものか…。
「…レナは大事だよ。貯金箱と同じくらいにね」
「それも嫌!やだやだ!」
「ったく、どうしたらいいんだよ!」
「レナが一番好きって言って!」
その考えはまだまだ子供だ。
「しょうがないなぁ…。俺は、レナが貯金箱よりも好き」
「なにそれ!ひどい!レベル低い!」
「高いよ。俺にとって貯金箱は生活に不可欠で重要なものなんだぜ?」
「じゃあ、レナはそれより上?」
「そゆこと」
「じゃあそれでいい…。貯金箱、落としちゃってごめんね」
レナは急にしゅんとなった。
「ったく、レナは世話が焼けるな~」
優しくキスしてやった。
「正夫、レナが豚の格好したらもっと好きになる?」
なんという安易な考え…。
「…ならねー!お前はバカか!」
「ひどーい!」
「ばーか!おこちゃまレナ」
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