【2000字掌編】雪花葬

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「なぁ、お父ちゃん。戦争はいつ終わるの? よその国と喧嘩して、勝った負けたじゃなくて、どうして仲直り出来ないのかな」 「戦争は喧嘩じゃないからな」 「喧嘩とどう違うの?」  その問いに、彰は困った顔をしたまま、自分の手をじっと見つめた。 「父ちゃんだって、あかぎれは痛いさ。けれど、戦争の傷はもっと痛いし、うんとたくさんの血が流れる」  深冬があかぎれの何倍もの痛さを想像してみると、涙がこみ上げてくる。級友の後藤君の兄さんは、戦地からの便りが途絶えたままだという。心配そうな顔をしていた後藤君は、「軟弱者」と先生に殴られた。 「それにしても……今夜は、底冷えしそうだな」  こわばった深冬を察して、彰が話を変える。  やっぱり、この季節は嫌い。  得体の知れない悪寒を、深冬は舞い降りたばかりの雪花のせいにした。
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