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episode260 復讐の計画②
迂闊だった。
彼と出て行けと言われたあの日に。
後を追わなかったことも。
あろうことかその後フラフラと
違う男に会っていたことも。
ご機嫌斜めはいつもの事だし。
怒っている間は近づかない方がいいなんて。
学んだつもりが大間違いだ。
「征司お兄様……もう……許してっ……」
僕が後追いをしなかったことで
どうなったか知りたいかい?
「もう一度聞くぞ?この男は誰だ?」
「それは……」
ベッドでうつ伏せに組み敷かれたまま
突きつけられたのは——。
あの場末の酒場で冴木と密談する僕の写真。
「たまたま隣り合った男……」
「嘘つけ!」
「アアッ……!」
杭を打たれるように深く貫かれ——もう一枚。
目の前に差し出されたのは
「こんな薄汚い店で、たまたま隣り合った男に、おまえはこんなことまでしてやるのか?」
「アア……ンッ……違うのそれはっ……」
言い逃れできない。
冴木の顔を引き寄せ唇を貪る己の姿だ。
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