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呑気にさえ聞こえる王様の呟きに。
「お兄様のバカァっ……!もう、早く……早く一緒にイって……」
限界を越えた僕は声を上げて泣きながら懇願する。
「それが人にものを頼む態度か?」
仕方ないにしても——今日の征司はとことん
「どうしょうもなく淫乱な僕の中でイって下さい、お願いしますだろ?」
とことん意地が悪い。
でも羞恥心や怒りが勝るほど今の僕に力なんかない。
「どうしようもなく……淫乱の僕のなかでっ……」
言われるがまま復唱する泣き顔を
不意に征司は撫で回し口づけた。
「お兄様……」
「俺のものじゃねーか、完全に」
放たれた言葉は独り言のように宙に浮いて。
重なる胸が発作の如くドクドク脈打ったかと思えば。
「アアッ……征司っ……ダメッ……!」
これ以上したら死んじゃう——。
「和樹……どこにも行くな」
生死さえ危ぶまれるくらいの愛でもって
征司は感情のすべてを僕の中に吐き出した。
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