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「どうしてなの?どうして私が……!」
大勢の民衆の足音と囚われる女王の残像。
まさに栄華を極めたアントワネットの叫び。
「連れていけ——徹底的に取り調べろ」
僕を抱いたまま
凍てついた声が言った。
「許さない!私にこんな仕打ち……許さないわよ……征司!」
そして女王は引きずられてゆく。
「毒を盛ったんだ……恐ろしい女」
「あの娘はもともと信頼できる人間じゃないさ」
「見てよ、美しいと思っていたのに鬼のような形相」
野次や皮肉の言葉に塗れて。
僕が細々と立ててきた復讐の計画なんて。
真の権力者の手にかかればこんなにも簡単なもんなんだ。
まさかギロチン台にかけるのか?
そこでふと歴史の教科書を思い出す。
ギロチンにかけられたのは
アントワネット一人だっただろうか?
いや違う。
だとしたらまさか——。
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