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正義の味方(プロローグ)
「俺はいつだって正義の味方だからな」
父さんがいつも僕に言っていたこの言葉は今でも記憶に深く刻まれている。僕の父さんは正義の味方、僕はそう信じて生きてきたし、父さんの死後に僕を引き取り育ててくれた父さんの両親、おじいさんおばあさんにも父さんは正義の味方だったと教えられてきた。
父さんの仕事は弁護士だった。
「悪い奴らから弱い人を救おうとしていた。お前の父さんはいつでも弱い人の味方だったんだ。」
幼い頃からよく爺さんに聞かされていた。僕は疑う事なく爺さんの言葉を信じていた。いつか父さんのような人になりたいと願っているが、まだ叶いそうにはない。
「最初は誰だって誤解されるものなのだよ。いつかはわかってもらえるよう頑張り続けなさい。」
いつの事だったんだろう。その時の事は詳しく覚えていない。寂しいと泣き喚く僕に優しくおばあさんが諭すように話した。その時なぜ僕は泣き叫んだのか、理由は覚えていない。ただお婆さんの言葉が脳裏に今でもはっきりと焼き付いている。
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