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01
―2026年12月19日、架空の都市・臨海市の隣街・出陸市―
オレ…蒼天馬宙は、もうすぐ高校生だ。オレは母校の中学の先生になりたいからって理由で私立工業高校と普通科高校を受験することにした。
オレはとにかく授業を休み過ぎてたぶん、他の子よりも基礎学力に欠けてるってわけで今まさに黒木診療所の二階…影夜の部屋で勉強会に参加していた。
「ったく……今日診療所が休みで良かったなお前ら。でなきゃオヤジが入れてくれなかっただろうよ。」
オレたちは少し前から〈リアル×VR〉という人気VRゲームで〈UNIONS〉というグループで活動していて、オレ絶ち男子組は半ば強引ではあるけど、ここ黒木診療所の二階…影夜の部屋がたまり場みたいな感じになってるんだ。
で、影夜の言葉通り影夜の親はまだ許したわけではないわけだから…そんなに長居ができないのもまた事実なんだ。
「ってか、馬宙はまだたくさんのトラブルのために奔走してたから目をつぶってやるとして……部活やってるお二人さんが揃いも揃って何してんだゴラァ!」
UNIONSの男子組のうち、オレ以外の三人…清介、影夜、工の三人は剣道部に所属しててみんなその動きを部分的に取り入れてたりするんだ。
「いやぁホンマに悪いなぁ、影夜。ここは友達の顔をたてて許してくれんか?」
「お前……夏の合宿前にも似たようなこと言って見逃してもらおうとしたろ。次はねぇって言ったよなぁ?」
「あははは……面目ない。」
「テメエら謝るくらいなら初めっからホイホイ赤点とってんじゃねぇ!だいたい、進路かかってる時期に何てことしやがる!」
影夜が意外にモテる理由のひとつ……それは、口先では柄の悪い人みたいな感じなのに、本当はものすごく面倒見がいいってところだ。
現にこうして赤点とっちゃったオレたちのために自分の大事な時間を割いてくれてるからね。
「いいかテメェら……今日は……連立方程式と解の公式を完璧に言えるようになるまでは帰さねぇぞコラァ!」
「「「ひいいいいいい!」」」
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