多分まだ処女と童貞です

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 自分の中で脈打つものが再び持ち上がるのを感じ、みのりは思わず叫んでしまった。 「えっ……ちょっと、また!?」  あらためて肌をまさぐられ、みのりは小さく息をもらした。まるで二つのふくらみをじっくり確かめるように、大きな手のひらの感触が下から胸をつかみ上げる。  ぐにぐに形を変えられて、今の今まで絶頂の余韻にあえいでいたみのりは泣き出した。 「もう、むり、だって……いいかげんにんんん!?」  抗議の声が何かに邪魔され、無理やり言葉を止められる。 とにかく唇をむさぼるような性急この上ないキスに、みのりは直感で確信した。 ──こいつ、やっぱり初めてだったんだ。よくわかんないけど絶対そうだ。  そりゃあみのりだって立派な処女(多分、まだ)だし、こんな体験は初めてだ。  だが、襲われているはずの自分より余裕がないのが丸出しなのは、みのりの体をせわしなくたしかめる手の感触や、中に入ろうとした時の動揺を感じる固いもの、やたら押し当てて来るだけでなかなか入らなかった何か──などで十分わかる。 ──いやもう、本当に勘弁してください。明日も学校あるんだから!  心の中で独りごちるが、ふがふがしながらみのりの唇を夢中でむさぼる相手の行為に、文句が口から出て来ない。  中に入っていたものがさらに大きくふくらんで、みのりは唇をふさがれたまま、ぎゅっと両方のまぶたを閉じた。      *  みのりはこれが自分の夢の中であることを知っていた。  あたたかな闇につつまれて、なぜか素っ裸になった自分が誰かに襲われている。寝る時はちゃんとパジャマを着ていたし、もちろん下着も身につけていた。しかしさすがは淫夢なだけに、すでにおそってくださいと言わんばかりの格好をしている。なんて雑すぎる設定だ。  推理マンガばりのあやしい影が自分を押し倒した時は、さすがに恐怖に悲鳴を上げた。しかしこの影がどこかこっけいで、みのりの悲鳴に飛びのくとその場でずさっと身を引いた。だが、またこまったようにおずおずと黒い腕をのばして来る。  再びみのりが悲鳴を上げると同じ形で逃げ腰になる。三回これをくり返した後、みのりは深くため息をついた。  目の前で正座した影は、なんだか見ていられないくらいにうなだれてしょげ返っている。そんなにこまるくらいならさっさと逃げ出せばいいものを、大きな体をちぢませたままみのりの様子をうかがっていた。  しばらく不毛な時間が過ぎて、みのりは小さく肩をすくめた。仕方なく自分も正座して、前にいる影に聞いてみる。 「──えーと。先に聞いておくけど、これって、夢……なんだよね?」  自分を襲おうとしている影と、たがいに裸のまま(相手も裸らしいことは、前につき出たアレでわかる)正座。  夢の中で思うのもなんだがかなりシュールな構図だろう。黒い影はこくこくとうなずき、再びみのりの様子をうかがった。  脱力感を感じつつ、みのりはしかたなく口を開いた。 「じゃあ、……じゃあ、いいよ。しても」  みのりが口から出した言葉に、影が一瞬のけぞった。あまりに大げさな反応に半分あきれて言葉を続ける。 「えーと、つまり、したいんだよね? ……セックス。私と。いいよ、これ夢なんでしょ? 何だか変な夢だけど、夢なら……まあいいか。いいよ、しても。──ちょっとかわいそうになってきた……気がする」
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