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秘裂をさぐっていた物が中につながる場所に当たって、みのりの声が上ずった。その反応に影が応じてぐぐっと力を入れて来る。
その時、初めて本能でみのりは痛みへの恐怖を感じた。勝手に腿に力が入り、自分に重なっている影をつきとばしたい衝動にかられる。
「あ……やっぱり、こっ、こわい──!」
思わずもらしたつぶやきに影は気づいてくれたらしい。押し入ろうとしていたかたまりが離れ、みのりはほっと息をついた。大きな手のひらがショートカットのみのりの頭を優しくなでて、そっと体から離れて行く。
──あれ。
みのりはぱちぱちとまばたきした。影は完全に身を引いて、みのりから距離を置いていた。
みのりはゆっくり体を起こした。彼がやる気をなくしてしまい、萎えてしまったわけではないことはつき出たアレで十分わかる。だが、彼はどうやらこれ以上先に進むのを止めたようだ。再びその場に正座して、みのりを見ながらじっとしていた。
「え? あれ。だって……いいの?」
目を丸くしてみのりが聞くと、影はこっくりとうなずいた。
いじらしいようなその反応に、みのりの心は少なからず動いた。
──ヤるのが目的だったはずなのに、怖いって言った私の意見をきちんと聞いて離れてくれた。
みのりはくすっと笑いをこぼした。妙に紳士的なこの強姦魔がなんだか可愛くなって来たのだ。
穏やかな笑みを浮かべると、自分から影に近づいた。驚いたような影の黒い頬に(輪郭で何となくわかった)顔をよせる。
「……‼」
少しざらりとした感触の皮膚に唇を押しつけると、影が明らかに動揺した。
みのりはそっと唇を離して、彼に柔らかくささやいた。
「いいよ、しても。多分、もう大丈夫。せっかくだから最後までしようよ。……がんばって」
何で強姦魔をはげましてまでセックスに持ち込もうとしているのか、みのりは自分でもわからなかった。だが、このどこか間の抜けた彼に情がわいてしまったのは事実だ。
──私も大概だなあ。強姦魔に和姦を持ちかけるなんて。
心の中で苦笑しながら、再びその場に横になる。
「はい。もう一回ここから。ね?」
さっきと同じく両手を広げて影を下から見上げると、影は感動したように大きく肩を震わせた。次の瞬間、がばっと激しく影がおおいかぶさって来て、その勢いでみのりの頭がごんと地面にぶつかった。まんまコントだ。
いてっとうめくひまもないまま唇で唇をふさがれる。一気に舌が押し込まれ、みのりの舌を荒くかき出すと思いっきり吸いつくされた。その熱烈な愛情表現に眉をしかめてこらえていると、大きな手のひらが性急な手つきでみのりの肌をさぐって来た。キスをしながら強い力で確かめるようになで回す。
「……ん、む、ん──っ、──っ‼」
肺活量にまかせた彼の濃厚なキスが延々と続く。呼吸困難におちいったみのりは死にそうな思いで首を振り、ぷはっと音を立てて唇を離した。
肺へと空気を取り込む作業を必死で続けているうちに、上半身から腿、膝へと彼の手のひらが下りて来た。ぐっと外側へ膝が開かれ、さっきと同じような形で間に腰が割って入る。
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