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 あ、これは。  ルロイ・アンダーソンの【シンコペーテッドクロック】連弾バージョン。  クスッと笑った私は玲君が弾き出したプリモパートに乗せてセコンドパートを弾き始めた。  通奏低音的な時計の音に、心がウキウキと弾んできそうな軽快なメロディーが乗っていくこの曲は、どことなく滑稽で、楽しい気分にさせてくれる。  このピアノの連弾バージョンは、私と玲君が大事な時を過ごす時に弾く曲になっていた。  ピタリと身体を寄せ合って、大事な人と呼吸を合わせて一つの曲を弾いていく幸せは、なにものにも代えがたい。  白と黒が交互に並ぶ鍵盤の上を、玲君の、指が長くて大きい手がしなやかに踊る。私の手と時折交差する。触れる。
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