1279人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
あ、これは。
ルロイ・アンダーソンの【シンコペーテッドクロック】連弾バージョン。
クスッと笑った私は玲君が弾き出したプリモパートに乗せてセコンドパートを弾き始めた。
通奏低音的な時計の音に、心がウキウキと弾んできそうな軽快なメロディーが乗っていくこの曲は、どことなく滑稽で、楽しい気分にさせてくれる。
このピアノの連弾バージョンは、私と玲君が大事な時を過ごす時に弾く曲になっていた。
ピタリと身体を寄せ合って、大事な人と呼吸を合わせて一つの曲を弾いていく幸せは、なにものにも代えがたい。
白と黒が交互に並ぶ鍵盤の上を、玲君の、指が長くて大きい手がしなやかに踊る。私の手と時折交差する。触れる。
最初のコメントを投稿しよう!