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 出会いはミュンヘン。  玲君は、駐ドイツ領事の御子息だった。  25年前、ドイツ留学中だった私は、恩師の紹介で領事公邸で御子息にピアノを教えるお仕事をいただき、そこで玲君と出会った。  のだけど。  当時の玲君は、到底お育ちの良いお坊ちゃまとは思えないレベルの悪戯を繰り出すとんでもないヤンチャ少年だった。  幾人もの先生にサジを投げられ、断られ、遂に、文化庁からの給費を受けて留学中でお金を貰えるなら何でもします、という学生の私にお鉢が回ってきたという。  若干19歳の小娘が、絶賛反抗期の13歳の少年にピアノを教えるというミッションは壮絶な戦いだった。
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