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●第一話
ーロビン家ー
【ごく普通の民家であるロビンの家の中では、飼い犬とたわむれているロビン、勉強をしているティア、そして家事をしている二人の母親の姿があった】
ロビン
「ほらグラヴ、とってこーい!」
グラヴ
「バウバウッ!」
【ロビンが投げたボールをグラヴが追いかける】
ティア
「うーん、うーん……これどうやって解くんだっけ……」
お母さん
「♪~」
《鼻歌》
【ボールをくわえたグラヴがロビンの元へ戻ってくる】
グラヴ
「バウッ!」
《誇らしげに》
ロビン
「よしよし、ちゃんと持ってきたな。えらいぞ~」
グラヴ
「くぅ~ん」
《嬉しそうに》
ロビン
「じゃあ今度は、どっちが先にボールをとれるか競争だ。いくぞ~……よーい、ドンッ!」
グラヴ
「ヴォフッ!」
【同時にボールへと駆け出すロビンとグラヴ】
お母さん
「こらロビン!家の中では走らない!」
ティア
「も~!勉強してるんだから騒がしくしないでよね!」
ロビン
「なんだようるさいな」
ティア
「うるさいのはお兄ちゃんのほうでしょ!」
お母さん
「ティーの言うとおりよ。そんなに元気があり余ってるなら、おつかいにでも行ってきてくれない?」
ロビン
「えー、やだよ。母さんが行けばいいじゃん」
お母さん
「お母さんは忙しいの。それに、お母さんには時間泥棒がとり憑いてるんだから」
ロビン
「はぁ?時間泥棒?」
ティア
「なにそれ?」
お母さん
「ふふふ。ねぇ二人とも。"パティギュー"って、知ってる?」
ロビン&ティア
「パティギュー?」
お母さん
「そう。"パティギュー"っていうのは"時間を喰う悪魔"のことで、私たちから時間を奪う悪い怪物なの」
ロビン
「俺たちから時間を奪う?」
お母さん
「そうよ、お母さんはパティギューに毎日時間を奪われているの。だから、おつかいお願いね。ロビン」
ロビン
「何でだよ?パティギューとおつかいは関係ないだろ!」
お母さん
「あるわよ、大アリよ。パティギューのせいでお母さんは忙しいんだから。さ、暇なロビンはさっさと行ってきてちょうだい」
ロビン
「俺は絶対行かないぞ!グラヴと遊んでるんだから」
グラヴ
「ワゥ!(そうだぞ!)」
お母さん
「ああ、そう。行かないんなら今夜はご飯抜きね」
ロビン
「ええー!?」
お母さん
「どうする?お母さんはどっちでもいいんだけど?」
ロビン
「…くっそ~……!」
ロビン
「行ってきまーす!」
【大きな音を立てて外出するロビン】
お母さん
「よしよし」
ティア
「……さっきの怪物の話、本当なの?」
お母さん
「えぇ?まさか。私もあなたのおばあちゃんから聞いたのよ。パティギューなんているわけないじゃない」
ティア
「な~んだ、お兄ちゃんを騙すための嘘かぁ」
お母さん
「ふふ。さてと……次は洗濯っと……」
グラヴ
「クゥ~ン……(おいおい……)」
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