第一部

3/7
前へ
/15ページ
次へ
●第一話 ーロビン家ー 【ごく普通の民家であるロビンの家の中では、飼い犬とたわむれているロビン、勉強をしているティア、そして家事をしている二人の母親の姿があった】 ロビン 「ほらグラヴ、とってこーい!」 グラヴ 「バウバウッ!」 【ロビンが投げたボールをグラヴが追いかける】 ティア 「うーん、うーん……これどうやって解くんだっけ……」 お母さん 「♪~」 《鼻歌》 【ボールをくわえたグラヴがロビンの元へ戻ってくる】 グラヴ 「バウッ!」 《誇らしげに》 ロビン 「よしよし、ちゃんと持ってきたな。えらいぞ~」 グラヴ 「くぅ~ん」 《嬉しそうに》 ロビン 「じゃあ今度は、どっちが先にボールをとれるか競争だ。いくぞ~……よーい、ドンッ!」 グラヴ 「ヴォフッ!」 【同時にボールへと駆け出すロビンとグラヴ】 お母さん 「こらロビン!家の中では走らない!」 ティア 「も~!勉強してるんだから騒がしくしないでよね!」 ロビン 「なんだようるさいな」 ティア 「うるさいのはお兄ちゃんのほうでしょ!」 お母さん 「ティーの言うとおりよ。そんなに元気があり余ってるなら、おつかいにでも行ってきてくれない?」 ロビン 「えー、やだよ。母さんが行けばいいじゃん」 お母さん 「お母さんは忙しいの。それに、お母さんには時間泥棒がとり憑いてるんだから」 ロビン 「はぁ?時間泥棒?」 ティア 「なにそれ?」 お母さん 「ふふふ。ねぇ二人とも。"パティギュー"って、知ってる?」 ロビン&ティア 「パティギュー?」 お母さん 「そう。"パティギュー"っていうのは"時間を喰う悪魔"のことで、私たちから時間を奪う悪い怪物なの」 ロビン 「俺たちから時間を奪う?」 お母さん 「そうよ、お母さんはパティギューに毎日時間を奪われているの。だから、おつかいお願いね。ロビン」 ロビン 「何でだよ?パティギューとおつかいは関係ないだろ!」 お母さん 「あるわよ、大アリよ。パティギューのせいでお母さんは忙しいんだから。さ、暇なロビンはさっさと行ってきてちょうだい」 ロビン 「俺は絶対行かないぞ!グラヴと遊んでるんだから」 グラヴ 「ワゥ!(そうだぞ!)」 お母さん 「ああ、そう。行かないんなら今夜はご飯抜きね」 ロビン 「ええー!?」 お母さん 「どうする?お母さんはどっちでもいいんだけど?」 ロビン 「…くっそ~……!」 ロビン 「行ってきまーす!」 【大きな音を立てて外出するロビン】 お母さん 「よしよし」 ティア 「……さっきの怪物の話、本当なの?」 お母さん 「えぇ?まさか。私もあなたのおばあちゃんから聞いたのよ。パティギューなんているわけないじゃない」 ティア 「な~んだ、お兄ちゃんを騙すための嘘かぁ」 お母さん 「ふふ。さてと……次は洗濯っと……」 グラヴ 「クゥ~ン……(おいおい……)」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加