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昼休み、先生からの留守電を聞いた。
電話は一時間前にあった。丁度、川西部長と話している時だった。
メッセージが残ってて、土曜日の事を詫びている内容だった。留守電を聞きながら胸が弾んだ。
ラインのアドレスを交換していたのに、わざわざ電話をくれた事が嬉しい。誰もいない会議室に入って、すぐに電話を折り返した。
「石上君、わざわざ電話ありがとう」
今度は先生と電話がつながる。
軽やかな先生の声を聞いて、顔がにやける。
「先日は先生とご一緒出来てとっても楽しかったです」
「こちらこそありがとう。マンションにまで送ってくれて。私、酔いつぶれたらしいわね。朝、主人から聞いてびっくりしたわ」
主人という言葉に針の先で突っつかれるみたいに胃の辺りがチクリとした。
「ご主人大丈夫でしたか?」
「石上君のおかげで大丈夫だった。二人きりだった事言わなかったのね」
「先生にご迷惑をかける気がしたので」
「気をつかってくれてありがとう。居酒屋のお金とタクシー代、私払ってないわよね。払わせて」
「先生には映画のチケットを買っていただきましたから心配しないで下さい」
「でも悪いわ。石上君の方がたくさん払ってるでしょ?」
「ご主人に帰りの足代をもらったから気にしないで下さい」
「そうなんだ」
先生の声が心細そうに響いた。
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