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6 女子大生の金
駅前のベンチ。最近はいつもここで、一日の終わりを迎えている。目の前に広がる夜の都会の輝きと、それを遮るように通り過ぎていく人々。そして私の隣に座る彼氏。私にとってこの時間が、一日で一番、安心できる時間なのだ。
「ほら、今日もこれ」
彼氏はそう言うと、財布から一万円札を取り出し、私の手に握らせる。
「ありがとう。でも、こんなお金どうやって……」
私がそう言うと、彼氏はにやりとして、こちらの目を見て言った。
「馬鹿な連中からふんだくったんだよ」
彼氏の歯につけたジュエリーが、きらりと光る。私は戸惑いつつもまた、「ありがとう」と呟いた。彼氏は茶色に染まった髪を軽く弄りながら、再び口を開いた。
「良いんだよ。ほら、資格の勉強だっけ、したいんだろ?俺はその辺でぼーっとしてる馬鹿な奴らとは違うんだ。もっと頼りにしてくれていいんだぜ」
私は「そうだね。大事に使う」と言い、笑顔を見せた。彼氏はそれを見て満足したようで、「じゃあ」と言って、駅の方へと歩いていった。
私は、手の中に残った一万円札をじっと眺めた。もちろん、資格なんて取る気もないし、勉強のお金っていうのも嘘だ。
もしこの嘘がバレたら、もうあの茶髪は金なんてくれないだろう。そしたらもうあそこに行けなくなる。そう考えると、私は不安で気が狂いそうになる。私がこの世の中を生き抜くためには、あの人の教えが絶対に必要なのだ。
だからこそ、あの馬鹿な彼氏との関係は大事にしなければならない。だが、最近頻繁に盗みを働いているようだ。元を辿れば私のせいなのかもしれないが、彼がどうなろうが問題ではない。この一万円札が無くなるのが問題なのだ。
新たな資金源を探しておくのも、悪くないかもしれない。そう思いながら、私は今日も、『占いの巣』へと続く道を進む。
大丈夫だ。私にはあのおばあさんが着いてる。あの人がいる限り、私に不幸はやってこない。私はおばあさんの言葉を思い出した。
『あなたがここに来て損することはないのです』
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