4 フリーターの金

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 数分の思考の末、ある方法を使うことにした。俺は忍び足で自室を出ると、隣の部屋の寝室の扉を少し開け、中を確認する。  少しベッドの布団が膨らんでいる。父さんはもう寝ているようだ。俺は安心して、父さんの書斎に向かった。  書斎の本棚の二段目の右端。そこには、机の引き出しの鍵を隠してあるのだ。前に書斎を物色していたとき、たまたま見つけたのだ。  その時引き出しの中には、へそくりらしき千円札があった。きっと今回も、何か収穫があるはずだ。こうなるといよいよ、俺がこんなことをしてるのも知らず、呑気に眠る父が酷く愚かに思えてきた。  俺は堂々と書斎に侵入すると、本の間に挟まれた鍵を手に入れた。そして、鍵付きの引き出しを開け、物色を始めた。  ところが引き出しの中は、ファイルやプリントなどのどうでもいいものしか見当たらない。俺は憤慨した。どうして必要なときに限って金が無いのだろう。こうなったら、あのドラマオタクのババアの財布を盗むしかない。  そう思ったとき、俺はふとあることに気付いた。一番底にあるファイルに、あるものを見つけたのだ。大部分が大量の書類に覆われてはいるものの、こちらをちらりと覗くそれの正体は、すぐに分かった。  俺は咄嗟にそれに手を伸ばした。ファイルの中に隠れるように、丁寧に入れられていたのは、紛れもなく一万円札だった。
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