264人が本棚に入れています
本棚に追加
ただ今午前九時。
始業のチャイムは二十分前に鳴った。
未だ担任であり一限目担当の烏丸高志先生は来ない。
最初は心配していた生徒も今ではそんなことも忘れて雑談に花を咲かせている。
「こーちゃん遅いねぇ。あずさぁ心配だなぁ」
俺の周りを囲む屈強な男共にきゅるんと可愛こぶって話しかけるとガタガタと立ち上がる。
「本当に烏丸先生遅いっすね!」
「俺が確認してきましょうか!」
「姫に心配かけさせるなんてあいつっ…」
「烏丸の野郎…」
「ねぇー、心配だよねぇ。
確認は大丈夫だよぉー、ありがとねぇ?
もうっ、先生にあいつなんて言ったらめっ、だよ?あずさおこだよ!」
一人一人に返事をして最後にむくっと頬を膨らませるとどこからかあずさちゃん可愛い、と声が上がる。
数人が静かに教室から出ていくのが見えた。
前屈みで。
分かります。俺が可愛いすぎるんだよな。分かります。
そんなことを考えてると光に睨まれた。
何でだ?
最初のコメントを投稿しよう!