2.金玉もぐ算段

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 仔鹿はさっきまで「ぇふえっ、ぇふえぇっ」と、しきりに啼いていたが今は落ち着いている。  鼻をひくひく動かしオロンの脇のとこに擦りつけ行動。  ――――これは、どういう意味があんだ? 「んー? あ、そっか、おっぱいか。こっち、こっちだよー」  仔鹿は本能的に美味しい匂いのするとこを探してたらしい。  脇もおっぱいと同じ匂いすんのか? 初耳だぜえ。  オロンが胸の方まで仔鹿の鼻を誘導させ、それに気づいた仔鹿はオロンの雄乳首を銜えた。 「ああん。この仔テクニシャ~ン」  授乳で欲情すんな変態鹿め。  仔鹿は本能のままにむしゃぶりついているだけだろう。  ちゅーちゅー吸ってお腹いっぱいになったら丸まって寝てしまった白い仔鹿バンビ。  平和そうに寝てやがるバンビ。思わず語尾がバンビる。  魔法動物であるこいつは、野生動物とは違って敵に捕食される心配もねえから、産まれて直ぐ立ち上がらなくて済む。  こちとら仕事後の急な出産でくたびれまくってんのに、この何も知らないあどけない寝顔みてたら、すげーホッとしちまった。  なんだろうなこの淡い気持ち。  サウナでカーッとなってあったまるより、ぬるま湯に足つけて下からじんわりほこほこしたような気分だ。  ホランも仔鹿抱いたまま寝ちまったし、俺も寝るかな。
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