帰りたくない

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凜は家の中に入るとお気に入りのソファーの端のいつも座っている位置に座る。 「何か飲む?」 「んー。何かあれば…」 そっか。悠斗は少し考えるように腕を組み、あっと思いついたように冷えたグラスとシェーカーとドライ・ジン、パルフェタムールとレモンジュースなどキッチンに並べた。 そして手際よく、それらの材料と氷をシェーカーに入れてシャカシャカとリズムよくハードシェイクする。 凜はその姿見ると大きな瞳をキラキラと光が散りばむように瞬かせた。 カッコいい…シェーカーを振る悠斗の姿を見て頬がふわっとピンクに染まる。悠斗がテーブルにコースターを置き、コトリと目の前にグラス置き、凜の後ろに腰をおろした。 薄紫色をした細かいつぶつぶがゆらゆらと上へと弾けている。 「わぁ…綺麗」 悠斗はbarのバイトでカクテルを作ったり、ちょっとした料理を作ったりしている。カクテルに興味を持ち練習をする為にお酒やリキュールを揃えていた。 「この前、オーナーに教えてもらったんだ」 「カクテルの名前はブルームーン」 「えっ?ブルームーン?」 「そ。奇跡の満月と同じ名前で真実の愛とか幸せの瞬間という意味があるんだって」悠斗はカクテルの名前と意味を説明する。 「なんかロマンチックだね」凜はブルームーンカクテルを眺めながら呟く。 「凜はお酒が弱いから甘めに作ったよ」
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