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大学へ
凜が帰った後、シャワーを浴びて大学へ向かう。
大学の門をくぐり講義室に行く途中の木々達が風に吹かれサワサワと葉っぱを揺らしていく。流れてゆく風にいたずらされるように髪の毛が無造作に揺れた。
後ろから拓也が声をかけてきた。
「よぉ、昨日はあれからどうなった?」ニヤリと口角を上げて俺を見る。
あぁ…と返事を返すもの、どう答えたらいいのか考えていると拓也は俺の左薬指の指輪を見て、「告白は成功したんだな?やっとかよ~おめでとう」とニヤける。
「んで、一線は越えたの?」デリカシーのない拓也の悪いところだ。
「……」黙っていると「いたしちゃったのかなー?」俺の腕にグイグイ自分の腕を押し付けてくる。
「いたしておりません」強めの口調で答えたら、クスっと笑い「まだ童貞くんなんだね」拓也に言われたくねぇと俺は拓也の頭を小突いた。
「まぁまぁ、怒るなよ、その時はいつか来る…焦るな」
「お前が心配しなくていい」ムカつきながら拓也を睨んだ。
そんな拓也もずっと俺と凜を見守ってくれていたやつなんだよな…前を歩く拓也を見ながら思う。
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