【黄昏時の待ち合わせ】

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『赤いちゃんちゃんこの噂』 ◇  カツ、カツ、カツ  放課後、教室から出て行く少女に数名の生徒が挨拶をする。  それらを手を振るのみで応えた少女は、急いで校門へと向かった。  ――ねえ、知ってる? 赤いちゃんちゃんこの噂。  ――知ってる! 知ってる! この学校の七不思議だよね!   ――そうよ。なんでも、話を聞いた人のところに来るタイプの怪異なんだとか。  噂好きの女子高生達を通り過ぎざまにその紅い瞳で見遣りながら、少女は黒いポニーテールを揺らして歩き去る。  噂好きの少女達は一瞬その姿に見惚れて、それから話を再開した。  通り過ぎていった少女はクールな美少女優等生として有名であった。ミステリアスで、口数の少ない彼女に話しかけようとするほどの勇気があるものは少ないのである。  ――それがね、この学校の七不思議は普通の赤いちゃんちゃんことは違うんだって。  ――「赤いちゃんちゃんこ着せましょうか」って問いかけられて、イエスって答えると殺されちゃうのは変わらないんだけど……その子は少し変わってるの。  ――その赤いちゃんちゃんこは夢の中に現れるのよ。そしてこう言うの。 「アタシを殺した凶器を探してよ」  校門へと向かうブレザー姿の少女は、黒髪を飾る菫色のリボンを揺らしながら時計を確認した。  彼女が待ち合わせた人物は、まだ現れない。
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