1人が本棚に入れています
本棚に追加
焼き討ち
*
あたしの16歳の誕生日。
誕生日って言っても何かある訳ではない。
プレゼントがある訳でもないし。
あたしがサンタクロースを信じなかったのはクリスマスに特に何もなかったからだ。
あたしはいつものように夢の中。
何?
煙い。
火が燃えている。
油の匂い。
これは、、、。
焼き討ち。
民の反乱。
あたしは目覚めて告げた。
*
「陛下、民達が反乱を起こしております!」
「知っておるわ。
なーに。
今に始まった事ではない。
こっちには夢見がついておるのだからな。」
あたしが民達の反乱を告げてから3日後のことである。
あたしは夢の中。
父王は反乱をくい止める手段を教えよということであった。
煙い。
いつものとは訳が違う。
父上も母上も死、、、。
やはり盛者必衰。
運命は新しい時代へと移ろうとしている。
*
「運命だと?」
父王はあたしの夢見の結果を聞くと怒りをあらわにした。
「えぇい!
お前は何の為にいるのだ!
わしに死ねと言うのか?!
子供が親に言うことがそれなのか!」
何の為?
あたしにこれまで何をしてきたというのだ。
言いたいのはこっちだ。
あたしの夢見の力を利用して散々贅沢をして。
自業自得ではないか。
夢見の為に生きているだけ。
そう言いたいのか?
あたしは泣きたいけど涙が出ない。
言い返すこともできない。
民達が城の周りに集まっている。
城の周りには兵もいるが次々とやられていく。
今までで一番の反乱だった。
*
「もう頼まん!」
それだけ言い残し父王はあたしの前から去った。
部屋の扉が閉まると同時に呻き声が聞こえてきた。
「ぐぁ!
貴様、、。」
どさっ。
鈍い音が聞こえてすぐまた扉が開いた。
「お前の親はもう死んだ。
どうする?」
金髪の少年。
夢の中で会った男の子だった。
「あたしは夢見。
あなたは勇気ね?
この反乱の指導者?」
あたしは不思議と落ち着いていた。
「親が死んだのに涙ひとつ流さないんか。」
少年は不適に笑う。
「えぇ、こうなることは分かっていましたので。
あたしは民達を苦しめた王の娘の可憐。
夢見。
ここで死んだ憎むべき王の血を引く者。
死が怖い訳ではありません。
ただ分かっているのです。
あなたはあたしを殺さない。
命ごいととられても仕方ありませんが。
死期は分かっているのです。」
「ふはっ!
この血はおまえの親のもの。
俺が怖くないのか?」
「父や母はやり過ぎたのですね。
誰も人殺しなんてなりたくてなるものではないもの。
あたしはそれが一番悲しい。」
「命ごいにしか聞こえないね。
死んでもらうよ?」
勇気は血のべったりついた剣をあたしにむけた。
そして振り下ろす。
あたしは微動だにしなかった。
「へぇ。」
勇気はまた不適に笑う。
「夢見は自分の死期まで分かるか。
気の強い女は嫌いじゃない。
見たとこお前は贅沢してたわけじゃないみたいだし?」
「ひとつ言っておきます。
盛者必衰。
あたしに関わって王になったとしても滅びはいつか来ます。
夢見は良いことだけ言うわけではない。
あたしを連れて行くと言うことは未来を知ると言うことです。
覚悟、ありますか?」
「上等!
来な。」
かくしてあたしは勇気と共に生きることとなった。
最初のコメントを投稿しよう!