1人が本棚に入れています
本棚に追加
笑顔
「笑う?」
「そうだよ。」
優馬がふっと笑った。
「勇気あんなだからあんまり気にしないタイプなんだけどさ、珍しくて。」
「でなんで笑えと?」
あたしは夢で見たことは聞かれてなかったと確信する。
「気にしてるから。
勇気にしては珍しい。」
「おかしくもないのに?」
「そー。
女の子は笑うといい。」
「はー。
でもあたし、、、。
笑うってどうすれば?」
「笑っておはようって言うだけだよ。
なーに簡単だろ?」
「はー。」
あたしは気が進まなかったが、勇気の部屋に行った。
コンコン。
「兄貴?
ちょいと待って。」
勇気が出てきた。
「あれ?
可憐?
なんか用?」
うっ。
笑うって、、、。
「お、おはよう、、、ございます。」
笑えなかった。
「は?」
「あ、あたしちょっと出掛けてくる。」
あたしは俯く。
「あーうん。」
「じゃ。」
「、、、?」
あたしは足早に勇気の側を離れた。
笑う?
あたしの人生で笑った事あっただろうか?
ないかも。
川沿いを歩きながら考え込む。
だいたいなんであたしが。
笑うといい。
優馬の顔笑ってたな。
笑顔。
それは魅力的だ。
笑うかー。
人はどういう時笑うんだろう?
嬉しい時。
楽しい時。
寝てばかりで人と会うことがなかったからなー。
難しい。
笑うって。
幸せを感じた時。
人は自然と笑うのかなぁ。
と、川沿いに一輪の花が咲いていた。
綺麗。
あたしはその花を見て立ち止まる。
その時。
「なんだ。
わらえるじゃん。」
突然後ろから声をかけられた。
驚いて振り向くと、。
勇気がいた。
*
「どうしてここが、、、?」
あたしは戸惑う。
勇気はその質問には答えずに、
「その花が蓮華だよ。」
そう言った。
「そう、、、。」
「まーたそんな顔して。
笑って!
可憐はもう俺たちの仲間なんだから。」
「仲間?」
「そう。」
あたしは不思議な気持ちが湧いてきた。
仲間、、、。
泣きたいような、嬉しいような、不思議な気持ち。
「勇気。
ありがとう。」
あたしは自然と顔がほころんだ。
「そーそー。
もっと笑え!」
勇気はあたしの頭をポンポンと撫でた。
*
最初のコメントを投稿しよう!