心の変化

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心の変化

歓迎会から数週間。 「ねぇ、勇気。」 「あー? なに?」 「寝よ?」 「美咲さー。 俺には愛美がいるって知ってるだろ?」 「愛美から聞いたよー。 最近やってないって。 飽きたんでしょ?」 「ウゼーよ。 俺の勝手。」 「最近変よ、勇気。 チャラ男が今さらー。」 「話終わり? 俺帰る。 じゃ。」 「えっ? 勇気っ!」 勇気はその場から離れた。 * 「ただいまー。」 「やだー。 優馬ってばー。」 「これしないとダメなの。」 「なんだ? 賑やかだな。」 「あ。 勇気。」 「おかえり。 勇気。 最近早いな。」 優馬とあたし、笑顔で勇気を迎える。 「それより手握り合って何やってんだよ。」 勇気は何故かちょっと怒ったように言う。 「可憐が包丁で指切ってそれの消毒してるんだ。」 「痛ーっ!」 「ばんそうこう貼れば終わり。」 「包丁?」 「うん。 晩飯の準備手伝うってきかねーから。」 「ふーん。 そ。 で? 飯は?」 「今から作る。 勇気手伝えよな。」 「分かったよ。」 「あたしも。」 「ダメ! 可憐は待ってな。」 「はーい。」 あたしはしょんぼり待つことになった。 * 「きゅうりも切れないって。」 勇気はサラダをつまみながら言う。 「だって、やったことないんだもん。」 あたしはほうを膨らます。 「明日から教えてやる。」 勇気は仏頂面で言った。 「えー! 勇気が? 優馬の方がいい。」 「なんだよ? 貴重な時間をお前にさくんだ。 優馬は忙しいの。 教えてやるだけありがたいと思え!」 「分かったわよ。」 「きちんと教えてね?」 「分かってるよ。」 「きちんとだよ?」 「しつけーな! 料理は優馬より俺の方が得意なの!」 「えー? 本当?」 あたしは笑う。 「あのなー! きゅうりも切れない奴に言われたかない。」 あたしと勇気の会話を聞いて優馬は笑っている。 * 「じゃ、俺は出掛けてくるから。 可憐を頼む。」 優馬は19歳。 あたしよりは年上だが、生活費を稼ぐため、あの歓迎会をしたバーで働いている。 「ねぇ、勇気?」 「なんだよ。」 「優馬は19歳って言ってた。 勇気は何歳なの?」 あたしはいたづらっぽく聞いてみた。 「あー? 18かな。」 「かなってなによ?」 「丁度今日18になったから。」 「え? じゃあ今日誕生日なの?」 「まーな。」 「愛美さんと会わなくていいの?」 「、、、。」 「あたし大丈夫だよ? 記念日は愛する人と一緒にいたいんじゃ?」 「俺、可憐に愛美のこと言ったっけ?」 「夢見はなんでもお見通し! 優馬にもいつみさんって言う愛する人がいるもんね。」 「お前ってさ、、、。」 「なによ?」 「まーいいけど。」 「なによ? 言いたい事があるなら言いなさいよ。」 「今日は愛美には会わなくていい。」 「え?」 「昼飯の買い出し行くぞ。」 「う、うん。」 あたしは戸惑いながら返事をした。 * 「うわぁー。 賑やかぁー。 人がたくさん!」 あたし達は市場に来ている。 「お前が貿易しろって言ったんだろが。」 「うーん。 そうなんだけど。」 ここは商人達が舟で来ていろいろなものを売っている。 「だいたい買い出し済んだな。 帰るぞ。」 「うーん。」 あたしは生返事。 「お嬢ちゃん、どうだい?」 「うわぁー。 かわいい!」 1人の商人があたしに声をかけた。 髪止めがたくさん並んでる。 「可憐! もう帰るって、、、。」 「うーん。」 あたしにまたもや生返事。 「かわいいなー。 欲しいなー。」 「あのなー。」 「分かってるよ。 帰ろ。」 あたしは一つの事を決めていた。 * 「違う違う! 左手は猫の手にして包丁は前に動かすの!」 「うー。」 あたし達は家に帰ってお昼の準備。 「あーもう! まどろっこしい!」 いきなり勇気はあたしの後ろにまわり、あたしの手に触れた。 「なっ!」 「こうしてこう。」 「、、、っ! ちょっと近いよ!」 「こうしないと覚えないだろ?」 「だって、、、!」 「うるさい。 集中しろ!」 「こう?」 「そうそう。」 「ねぇ。」 「あー?」 「あたし働きたい。」 「違う違う! 猫の手だって。」 「分かってるわよ。 それより、、、。」 「働くのはダメ! だいたい料理すらまともにできない奴に何ができるんだよ。」 「それは、、、。 そうだけど。」 「ほら出来た。 食ったら寝ろ。 俺出掛けてくるから。」 今日のお昼は冷やし中華。 きゅうり切っただけ。 あーあ。 あの髪止め欲しかったのに。 いい考えだと思ったのにな。 勇気は食べると出掛けて行った。 なんだかんだ言って愛美さんと会うんじゃない。 さーて。 寝よう。 夢見は普通の人より寝る時間が多い。 よくよく考えてみれば働くのは難しい。 あたしはため息をついて眠りの世界へ落ちて行った。
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