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それぞれの反応
子供の姿になって一時間後。
ジュンからメールで呼び出しを受け、アシスタントとして店に出入りしている女子高生・逸花と、ジュンの恋人・紗綾が、二人のもとへと駆けつけた。
呼び鈴をならし、待つこと数分。
玄関で二人を出迎えたのは、ちんまい姿の少年二人だった。
「えっ、誰? あれ? 場所間違えた?」
ちんまい二人を見てパニックになる逸花の横で、ジュンの恋人・紗綾は重苦しい空気を放っていた。
「隠し子……。ジュンさんに隠し子……」
白目を向いてぶつぶつ言う紗綾に、ジュンが慌てて訂正を入れる。
「違うよ、紗綾ちゃん。僕がジュンだよ! で、こっちがチハル!」
「そういう風に嘘をつけって、ジュンさんに言われてたのかな? ぼく?」
ジュンの肩に手をのせ、凍りついた笑みを浮かべながら紗綾は言う。どうやら過去の恋愛のトラウマを刺激してしまったようだ。愛しい恋人の重苦しい圧力に、さすがのジュンも冷や汗をかく。
「紗綾ちゃん、目が笑ってないよ……?」
「ふふふ。ねえ、ぼく。ジュンさんはどこかしら?」
「いや、だから僕がジュン……」
「もうそれはいいから。ね、お姉さんにほんとうのことを教えてちょうだい?」
噛み合わない二人のやり取りを遠まきに見ていたチハルと逸花は、紗綾の迫力にたじたじになっていた。
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