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一方その頃、チハルたちは鈴をならしていた。手を叩き、本殿に向かって願い事をする。
ーーどうにか、もとの姿に戻れますように。
逸花を守ってやれる体に、戻りたいーー
チハルが祈ったその時、彼の体がぽわぽわと温かい光に包まれ、白く発光し出した。白い光は強さを増し、目を開けているのが辛くなるほど光を放っている。
「チハルさん!」
隣にいた逸花がチハルに向かって手を伸ばす。チハルもまた、その手をつかもうと手を伸ばした。
ーーハルくん、幸せになるんだよーー
どこか懐かしい、優しい声がチハルの頭の中で響いた。
「母……さん?」
そこで彼の意識は途絶えた。
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