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「……さん、チハルさん!」
目を開けるとそこには、泣きじゃくっている逸花の顔と、見慣れぬ天井があった。
「……ここは……?」
「神社の社務所だよ。チハルさん、倒れたから、神社の人にお願いして運んでもらったの……全然、動かないから心配したんだよ」
チハルが起き上がろうとすると、頭がズキンと傷み、思わず顔をしかめてしまう。
「すぐに起き上がるのは無理だよ、頭打って倒れたんだから……」
心配そうにチハルの顔を覗く逸花の頬に手を伸ばすと、彼女はそのまま、手を頬にあて、ポロポロと泣き始めてしまった。
「す……スライム、泣くなよ……」
慌てるチハルに、逸花は言った。眩しい光に包まれた時、ちーくんがどこか遠くに行きそうで怖かったと。光が収まったとき、もとのサイズのチハルが地面に倒れてるのを見て、願いが叶ったってはじめは嬉しかったけど、声をかけても起きなくて、すっごく不安になったと、涙ながらに逸花は語った。
「心配かけたな、わりぃ」
「本当だよ。責任とって、今日一日はゆっくり休むって、約束して」
「わかった。から、泣くな」
チハルは差し出された小指に、自身の小指を絡め指切りをした。
「チハルさん、もう、どこにもいかないでね」
「ん」
そう言うとチハルは、逸花の手を優しく握った。
「あー、いちゃついてるところ悪いんだけど、ちょっといいかな?」
声の主の方、部屋の出入口へと目をやると、そこにはーー
元のサイズに戻ったジュンと、紗綾が襖を開けて立っていた。
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