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白い両足は腿のあたりまであらわになっており、刺繍入りの靴も泥だらけだ。
「うー、アリア」
「なあに?」
「俺たちも一応、もう十八なんだし、男の前でそういうあられもない姿はどうかと……」
とたん、アリアはぷうと頬を膨らませる。
「だって、じゃあ、どうしたらよかったのよっ。二人ともここにきてから剣の手合わせばっかりして、私をずーっと無視してたくせに!」
春になったら、また昔みたいに外に出かけよう。
そう約束して、せっかく久しぶりに三人で遊びにきたのに。
アリアは今日の散策をけっこう心待ちにしていたのだ。
最近、アリアが巫女見習いとして通っている月神殿でも、暗い戦局の話でもちきりだった。どこどこで戦があって、何人死んだとか、誰が武功を上げたとか。
最初は隣国ティカとの国境沿いで起きていた小競り合いは、冬のはじめごろからだんだんとサウラ国内で起きるようになっていた。
ようするに祖国が負け続けていて、ティカに攻めこまれている図らしい。
だけどこのウリシュはサウラ国でも辺境の高地にあって、ティカにも遠い。
食べ物だって豊富にあるし、人々の暮らしは平穏そのもので。
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