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どこ?
公立N中学。 公立だから、頭の良い人も悪い人も、運動ができる人もできない人も、カワイイ娘もそうでない人も、カッコいい男良(こ)も、そうでない人も色々。
若い俳優が教師役をやる民放ドラマの教室のように洗練された容姿の生徒ばかりなんてあり得ない。。中学校の普通の女の子(本人はそう思っている)フウナとユカ。
フウナとユカは一番気の合う友達。授業が終わった後も一緒に話をしている。
「ウチの学校、幽霊が出るらしいよ」
「えー、やめて 嘘でしょ」
「まじで出るんだって」
「なんで どこで」
「結ちゃんのお兄ちゃんがホントに見たんだって」
「まじ、どこで」
「美術室の奥に、なんか扉っていうか、なんかあったでしょ」
「えっどこ?」
「なんかあるんだって、美術室の廊下の奥」
「えっ美術?どこ」
「あるんだって、私もなんとなくだもん。気付かなかったけどなんか扉があって、あれ倉庫かな」
「えー、知らない 知らない」
「あるんだって」
「嘘、あるー? そんなの 扉でしょ」
「そう ちょっと薄暗い」
「無いって だって見たことないし」
「あるって 絶対見たことあるって」
「いやない、ないって」
「見てる 見てる 美術室行くとき絶対見るもん」
「えー あるー? 美術室の廊下でしょ…」
「そう」
「えー、あっ、でもなんだろう、なんかあったかなー、 えっ、何があったか思い出せない」
「そこにあんの」
「えー、なんだろう 本当に思い出せない」
「ユカちゃんボケるの早い」
「ボケてねーよ」
「あははっ 14歳ですでにボケちゃった」
「ボケてねー」
「まあでも普通そこあんま見ないし、気にしないとこだしね」
「そんな倉庫見たいなとこあったか?」
「うん、だからそこに出たんだって」
「幽霊?」
「そう」
「ウソだろ」
「今から見に行こっか?」
「やだー 絶対嫌」
「幽霊じゃないよ 扉を見に」
「嫌、だから嫌」
「だから幽霊じゃなくて扉を確かめに」
「扉でも嫌だ」
「ユカちゃん扉思い出せないって言ったから、ね
っ、そこ見に行けば分かるじゃん」
「いい、思い出せなくってもいい 絶対行かない」
「思い出すよ」
「嫌だー」
「行こー」
「えー 恐いー、」
怖々、美術室の廊下の奥の扉を見に行くフウナとユカであった。
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