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通学路
公立N中学。 公立だから、頭の良い人も悪い人も、運動ができる人もできない人も、カワイイ娘もそうでない人も、カッコいい男良(こ)も、そうでない人も色々。
若い俳優が教師役をやる民放ドラマの教室のように洗練された容姿の生徒ばかりなんてあり得ない。中学校の普通の女の子(本人はそう思っている)メイ子。
モコはメイ子の一番の友達。
いつもの朝の、いつものように一緒に歩いて登校する二人。
「おはよう。」
「おはよう。」
「モコ。髪伸びてきたね。」
「もう結んじゃおうかな。」
「明日?じゃあ私も結んじゃおう。」
「もう結んでもいいけどゴムないし。」
「輪ゴムでいいじゃん。」
「嫌だー。」
「輪ゴム持ってるよ。」
「嫌だー。メイちゃん結んでよ。」
「私結んであげるよ。」
「えっえっマジで?」
「後ろ向いて。後ろ。」
「えっ、ちょっと。本当に。」
「いいから。輪ゴム出すよ。」
「えっマジで。ちょっと。」
「あっ、やっぱいいよ、後ろ向かなくて。やっぱ私後ろ行くから。」
「えっ、本当に。ちょっと、ちょっとう」
「大丈夫。カワイイって。」
「えー。マジでー。」
「うん、うん。ちょっとじっとして。そう、じっと。」
「えっ 本当に。本当にやってる?本当?」
「・・・」
「えっ。ちょっと待って、ちょっとちょっと」
「モコ、うるさい。うるさいって。はいちょっと待って。はい、はい。はい出来たー。」
「えー、本当?ちょっと。」
「出来た、出来たって。何カワイイじゃん。
えー、 残念ー。」
「何それー。可愛く無い。」
「カワイイって。」
「可愛く無いって。」
「カワイイって。私もやりたいもん。」
「輪ゴムだよ。今やることないし。取るよ。」
「えー。つまんなーい。」
「じゃあ、今度メイちゃんね。」
「えー。嫌だ。」
「ダメ、ダメ。ダメだって。」
「はい、ゴム渡して。今度メイちゃん。」
「えー。マジで。」
「はい、はい。前、前、前行って。前行く。」
「えー」
こんなことを、言いながら学校に向かう仲の良い二人。
~続く~
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