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授業前の教室
公立N中学。 公立だから、頭の良い人も悪い人も、運動ができる人もできない人も、カワイイ娘もそうでない人も、カッコいい男良(こ)も、そうでない人も色々。
若い俳優が教師役をやる民放ドラマの教室のように洗練された容姿の生徒ばかりなんてあり得ない。中学校の普通の女の子(本人はそう思っている)サオリ。
「リエ。どうした?」
「ちょっと聞いてよ」
「なに?」
「あのさー」
「ツクちゃんと、ハヤカワ先生怪しくない?
」
「えー。ツクダー」
「そう、そう」
「えー。ツクダと。 嫌だ、ハヤカワ先生可哀想。」
「でも、だって 昨日部活が終わった後に、教室に忘れ物したから、昇降口に、戻ったらなんか隅の方で声がするから見たら、ツクちゃんとハヤカワ先生がいて。『おいっ!』ってツクダの声がしたと思ったらハヤカワ先生が泣きながら昇降口の外に出ていったの。」
「マジでー。それで」
「そしたら、ツクダが真剣な顔でハヤカワ先生を、追っかけてって。そのあとどうなったんだろう。ねっ怪しいよね。」
「エーーっ!怪しいっていうか決定じゃん。 えっでも嫌だ。嫌だ、嫌だ。」
「でも、先生泣きながら出ていったんだよ。」
「でも嫌だ。私のハヤカワ先生を泣かすなんて。」
「お前のじゃねーよ」
「えー。ハヤカワ先生にはもっといい人いるって。」
「でもさー。ツクダって、ちょっとカッコよくない?」
「えー どこが?」
「サオリのタイプは違うもんね。」
「うん。ツクダはあり得ん。」
「サオリはもっとおじさんがいいもんね。」
「うん。じじー大好き。」
「なんでー。わかんない」
「えっ。いいじゃん。」
「わかんなーい。じゃあタミヤ先生とか」
「あれは、じじい過ぎる。『あれ』って言っちゃったけど。極端、わざと言ってるでしょ。」
「はっはっはー(笑) サオリ面白いっ。」
「面白くない。」
「ねーでも怪しいよね。」
「ツクダかぁー 今度聞いてみよっか?」
「本人に?やめてよー」
「いいじゃん。リエも一緒に来るんだよ。」
「ちょっと 私」
~始業のチャイムが鳴る~
「あったり前じゃん」
などと言いながら、みんなと一緒に各々の席に着くサオリとリエであった。
~続く~
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