三者面談

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三者面談

公立N中学。 公立だから、頭の良い人も悪い人も、運動ができる人もできない人も、カワイイ娘もそうでない人も、カッコいい男良(こ)も、そうでない人も色々。 若い俳優が教師役をやる民放ドラマの教室のように洗練された容姿の生徒ばかりなんてあり得ない。中学校の普通の女の子ミキ。 今日はミキとミキの母親と先生での三者面談。 「こんにちは。どうぞこちらへお掛けください」 「よろしくお願いします。」 「よろしくお願いします。では、お母さんこちらで、ミキさんこっちに。どうぞお掛けください。」 「あ、はい、よろしくお願いします。」 「どうぞお掛けください。どうぞ、お先にどうぞ、いえいえ、どうぞ。」 「あ、はい。」 「ん、どうした。なんだ。緊張してる?どうしたんだ、うん、緊張しなくていいから。」 「んふふ。」 「なんだ、いつもと違うかぁ?いいよ座って。ん、だからどうしたんだぁ。はい、座って。 ちょっと、違いますかね。 こんにちは。では、三者面談ということで。あらためてよろしくお願いします。」 「よろしくお願いします。あんたも頭下げなさい。」 「いつもミキさんはこのクラスでもいつもニコニコして、ミキさんが居るだけで明るくなるような」 「ねえ、家でもそうだといいのにね。」 「なんだ、家だとそうじゃないのか?」 「ううん。」 「ねっ」 「ん、どうしたぁ?いつもと違うかぁ?」 「お母さんも違う。」 「もうそんな事いいのっ。すみません。」 「はっはっ、お家でいつも一緒にいるのと学校でこういう具合で会うのではやっばり雰囲気が違って、少しかしこまりますよね。」 「もう、本当、すみません。いいです、先生進めてください。」 「では、改めて。では、まず勉強の方の成績から行きましょうか。」 「ああー嫌だー」 「はっはっは、嫌だーっ言っても仕方ない。」 「何言ってるのー。 はい、覚悟してます。」 「そうですね。でも今『嫌だー』ってミキさんが言われましたが、そんなに『嫌だー』っていうほど悪い科目もなく大変頑張っておられるんじゃないかと思います。」 「はい。」 「特に英語は良く頑張ってる、ますね。」 「ああーっ」 「なんだあ」 「ダメ」 「んー。ダメって言うほど悪くないぞ。」 「ううん、全然。」 「ほら、先生が頑張ってるって」 「ううん。」 「そんな悪くないぞ」 「ううん。数学」 「ん、数学はな。まあ」 「うん」 「でも、数学も言うほど、そんな悪くないぞ 。 数学もミキさんが頑張って前よりは良くなってますから。」 「はい。この前、数学のテストもって来たときは本当にもうって思いましたど、その時と比べましたらねえ。 ほら、先生も頑張ってるって。」 「ううん」 「どうしたぁ、まあでも向上心があることは素晴らしいですから、そこがミキさんの素晴らしい所ですから。」 「ううん」 「ほら、先生がミキのこと素晴らしいって、褒めてくれたじゃん。」 「お家でもミキさん頑張ってると思うのですが、学校でもいつも笑顔でこちらがいつも元気を分けて貰ってるような、ですからお母さんもミキさん自信をもっていただいて。 ん、このまま、なっ」 「ありがとうございます」 無言で首を振り続けているミキであった。
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