愛しのあの子へ不器用な僕からのI Love You

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愛しのあの子へ不器用な僕からのI Love You

『つぎは全国のお天気です──今日から週明けにかけて強い寒気が流れ込み、今月一番の冷え込みと……』 「…………」  12月1日──土曜日。  尚斗はうんざりとした顔でテレビを眺め、一年のうち二番目に憂鬱な季節がやってきた、と思った。笑顔で天気図の解説を続ける天気予報士を、液晶画面越しに睨みつける。  夏の暑さは言葉にするのも億劫になるぐらい苦手で、冬の寒さはそれ故に口を開くのも憚られるので苦手である。風邪でもないのにマスクをして、窒息するのではないだろうかという具合にマフラーを巻き首元を隠す。  母屋の、居間に出ている炬燵にうっかり入ろうものなら、二度と出られない。うたた寝をして祖父の泰正(やすまさ)に起こされたことも一度二度ではすまないし、結局起きられずその場で寝落ちてしまったことも数え切れないほどだ。おかげで少し喉が痛い。 (今週ずっと寒いのか……学校休みになんねぇかな……)  我ながらひどいことを思うものだ。養護教諭の四楓院倭斗(しほういんやまと)にこぼしたら、「少しは身体鍛えんと」と笑顔で竹刀を差し出されることだろう。  剣道部の副顧問であり、個人では警察剣道に通っていると聞く。しかも泰正の勤める警察署の道場にいるというのだから、最初に聞いた時は心底驚いたものだ。 「嫌だ……じーさんと先生と、二人から剣道教わるとか……嫌すぎる」  はぁ──そうため息をこぼしながら炬燵の天板へと上半身をしなだれさせた。ほんのりと温まった天板に触れた頬が、じわじわと熱を受けて温まっていく。心地よくて、このまま寝てしまいそうだ。 『続いては今日の占いです。今日もっとも運勢のいい星座は──』  いつのまにか天気予報が終わり、番組の最後にやる占いのコーナーになっていた。以前はまったくと言っていいほど興味がなかったこのコーナーも、最近ではちょっと気にするようになった。
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