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 side 僕  早いことあれから2年が経過しようとしている。この施設は壁を徹底的に白で統一しており、攫われた境遇さえなければ研究所や病院のような場所だと受け入れることが出来たであろう。どう見ても怪しい宗教団体でした。  拉致した人間に朝昼晩の食事は提供するけど、それ以外の時間は大学の教室のような場所で訳のわからない勉強をさせられている。机の上には宗教関係の本が人数分積まれており、黒板の前にいる先生は生徒である僕達が明らかに講義について来れなくても、黙々と講義を続けるものだから本を立てて仮眠する癖は講義を受け始めて1週間で身についてしまった。  宗教施設に攫われた人は僕以外にも沢山いて、その殆どが20歳以下の学生だった。だからと言って話が合うわけでもなく、僕は集団に馴染むことは無かった。 「ねえねえ! お話しようよー」  でもこの子は別だった。勉強するふりをする僕の隣に座り会話を要求するこの子に「話さない」と寝ぼけた声で返事をして、教科書の下に埋もれた。よくわからない宗教の話を聞かされて疲れているのに会話する気力は無かった。僕は攫われる前からちょっと問題児だったみたいで、周囲からも見放されていた気がした。それでいいと思う、捕まったのも深夜3時何かにコンビニへ買い物へ行ったからだし。そんな問題児な学生集めたのなら、この子も真夜中に外出する問題児なのかな? とてもそうとは思えない。童顔な顔立ちにクリーム色の髪、撫で肩で服がだぶっとしていて服のサイズが合っていない。 「なんでー?」 「話さないから話さないの」  僕は喉を押しつぶされたような声でゆっくり答える。がっかりした声で話す子供っぽい男の子は、そのまま10分くらい僕の隣でぺたんと机にしがみつくように座っていた。直接見ていたわけじゃないし時間も正確に分からないけど。  僕が体を起こすと頭の上に乗せられた教科書が白い床に落ちる。左右を確認するとぺたーと座った男の子がつまらなさそうに顔を床に擦りつけていた。  つんつんと指で男の子の頭を触るとゆっくりと起き上がった。目が半分くらいしか開いていないから寝ていたかな。 「寝てた?」 「ふぁ……ねてない……あそぼう?」  寝起きのふやふや声で誘われた僕は、好奇心と気まぐれで「いいよ」と軽く返事をした。何して遊ぶのかさっぱりわからないけど。 「ぼーるあそび……したい……」 「ボール……ある?」  周囲を見渡すがボールは見当たらない、というより僕達以外の子供は夜飯の時間でいないという始末だ。みんな自室に帰ってしまっていたので僕も帰りたくなった。 「ボール……!」  男の子は部屋がある部屋ではない別の扉へ走っていく。寝ぼけて変なことをするに違いない。駆け足で追いかけるが既に男の子は扉の向こう側、廊下を走っている、僕も後をついて行く。
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