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始まりの日
僕は小さい頃からかくれんぼは得意だった。
「いーち、にー、さぁーん、、、」
「きゃー!」
「あっちいくー?あ、まってよー!」
夕方、空がオレンジになってきた公園に子供たちの声が響く。植えてある木々の間にかくれたり、ジャングルジム、大きなパンダの置物の中、大人には簡単すぎる小さなかくれ場所も子供たちには大きなテーマパークのようだ。
「あ!まこちゃんみっけ!」
「かいとくんもー!」
「みつかったー!」
「えーはやいよー!」
小さな公園にあるかくれ場所なんてたかが知れている。
でも僕はいつも最後まで見つからないんだ。なんでかその時はわからなかったけど、いつも同じところに僕はかくれてたのに。
『あきひさ、あきひさこっち』
『こっちこっち!』
かくれんぼが始まると聞こえる。
お友達の声。
それは当時の僕にとっては当たり前のことで、不思議だなんて思わなかった。"彼ら"は物心ついた時から僕のそばにいたし、僕以外にもみんなのそばにもいるのを知ってたから。
みんながなんでそれを気づかないフリするんだろうとか、まだ自分の世界しか知らない子供の頃の僕にはそんなに気にならなかった。
でも、なんとなくだけど、前に"彼ら"の話をしたら変な顔されたのを覚えてたんだ。誰に教えてもらったでもないけど、言っちゃダメなこと、知られちゃダメなことだって小さい僕は気づいた。
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