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なんとかホームの電車に駆け込んで肩で息をする。もう横っ腹が痛い。電車は速度を上げていくけど、もっと早くと気が急いて窓の外を睨め付ける。
最寄駅に着けばまた走ってマンションに向かう。タクシーを探す時間も惜しかった。肺が痛くて息が苦しかったけど、独りでいる時感じていたそれよりずっとマシだ。
マンションの明かりが近くなって、玄関口でスーツ姿のユウジ手持ち無沙汰にうろうろしてるのが見えた。少し気が抜けそうになるけど、立ち止まったら多分動けなくなる。
向かい側の道路からマンションに走った。
ユウジは目を見開く。何か叫びながらこっちに走ってくる。
左から来た強い光がその姿を遮る。
クラクションが響く。
光の方を見れば車のヘッドライトが迫っていた。
なぜかスローモーションで近付いて見えるのに、足が動かない。
次の瞬間には、俺のいた場所を車が猛スピードで通り過ぎて行った。
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