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「俺との約束をすっぽかすなんていい度胸してんじゃねえか」
ホテルのベッドに投げ出されて、腹のあたりに乗っかられた。さっきまで風呂場にいたから当然素っ裸だ。ジョンは女みたいな造形の目をギラつかせ俺の乳首を抓る。
「イッテ」
「あ?手加減してもらえると思ってんの?」
「悪かったよ」
溜息を吐き出せば、ジョンは舌打ちした。
「貴重な非番の日を無駄にしやがって」
ぶつくさいいながら、黒のボタンシャツを乱暴に脱ぎ捨てた。筋肉の凹凸がはっきりと分かる、きれいな逆三角形の上半身が露わになる。
「お前さあ、セックスの他に楽しみがないわけ?」
「は?セックスはレジャーだろ?」
駄目だコイツ。やっぱり変態だ変態。
俺に跨ったままにじり寄ってきて、「舐めてよ」ってズボンのファスナーを下ろす。
「いいけど、俺のもやって」
「今日はハジメが全部やれ」
また溜息が出た。いつまで根に持ってんだコイツ。大体待ち合わせをドタキャンされることなんてアプリじゃ珍しくないだろうが。
でもここでああだこうだと言ってても時間が無駄になるだけだ。
ジョンの下着を下ろして、もう膨らみ始めているそこに舌を這わせる。先を口に含めば、ぐっと喉まで押し込まれてえづきそうになった。質量を増していくそれを受け入れるのは難しくなってきて、亀頭を舐めたり吸い上げたりしながら手でしごく。
ジョンは俺の髪を撫でながら
「そういえばお前、アプリやめたの?」
って聞いてきた。今聞くとかアホか。口からジョンのブツを抜く。
「辞めてない。カテを変えただけだよ」
「誰がやめていいっつったんだよ」
ペニスの先を唇に押しつけられる。出たよ、コイツの無茶振りが。手と舌先だけで弄ってやる。
「で?カテ変えたって?」
「ん、ヤリモクじゃなくて、恋人募集とか」
「は?!お前が?!」
ジョンは目を丸くした。それから意地悪くニヤッとする。
「アハッ、お前結局本命とはダメだったんだな」
「余計なお世話だ」
「じゃあ、お前アプリ使ってセックスしてないの?」
「今のところは」
ヤリモクで登録しているサイトもあるけど、仕事が増えて相手と予定が合わないことが多い。
「俺としかしてないんだ」
「まあな」
へえ、とジョンは口角を上げた。心なしか少し機嫌が良さそうだ。
「じゃあ、俺のモンになる?」
ジョンは、俺の顎を掴んで正面を向かせた。ジョンは薄く笑っていて、でも真っ直ぐ俺を見る目はふざけているわけでは無さそうだった。
「俺は性格に難ありだから無理なんだろ?」
「アハっ、で、お前はどう思ってんの」
「ヤダよ。お前性格クソだから」
「そっか、じゃあさっきの話はナシで」
ジョンはあっさりと手を離した。
「お前普通に浮気しそうだしな」とか失礼なヤツだ。それはお前もだろうが。
「取り敢えず、シよっか」
唇にジョンの唇が覆い被さって、唾液ごと舌を吸われる。
珍しくヤツの意見に同意した。俺とジョンは、セックスだけしてるくらいがちょうどいいのだ。
end
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