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冬のある日のことです。
幼い少女がひとり、森の魔女に会いにいきました。
母親は料理をするかたわら繕い物をしていましたし、父親は町へ出稼ぎに行っていました。姉はまだ小さい妹のお世話をしていましたし、兄は学校に出かけていました。
少女の相手をしてくれるひとは誰ひとりいませんでしたから、家を抜け出すのは、思ったよりもずっとずっと簡単なことだったのです。
魔女の家はすぐに見つかりました。少女が思い描いた通りの、今にも壊れそうなおうちです。扉を叩けば、不機嫌そうな顔の魔女が現れました。白髪混じりの枯れ草のような髪を揺らしながら、じっと少女を見つめます。魔女は少女を追い返すことはなく、そのまま家に入れてくれました。
冬だというのに部屋の中には花があふれていました。
まるで少女が来ることを知っていたかのように、テーブルの上には湯気の立った紅茶がふたつ。クリームがたっぷりとはさまれたクッキーも並べられています。
少女が座った椅子は、そのまま眠ってしまいそうになるくらい柔らかいものでした。暖炉の火も赤々と燃えています。見た目は今にも崩れそうなあばら家だというのに、ここは少女の家よりもずっとずっと暖かく、不思議なほど居心地が良かったのでした。
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