その3 画廊の男(side慧斗)

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 私は君のお母さんを幸せにできなかったばかりか  君の存在も知らず、私の元妻から  君を守ってやることもできないでいた  本当に情けない親だ  父親だと認められないのは分かっている  でも、君の力になることだけは許して貰いたい』  父は体を震わせながら瑞姫ちゃんに頭を下げました  すると瑞姫ちゃんは優しく父をハグしたのです  『いいえ、母はあなたに家庭があることを知りながら   あなたに恋をしたのです   母が息子の要さんのことを思って身を引いたことは   間違っていないと思います   私は幸運にも最初の父と   両親亡き後は   叔父にたくさんの愛情を受け大切に育てられました   だから、不幸せだと思ったことはありません   ただ一つだけ気がかりだったのは   母があなたに捨てられたということでした   でも、要さんから真実を聞き   母が本当は愛されていて、   今も尚あなたに思われていることを知り   とても嬉しかったのです       なので、私はあなたを恨んではいません   会えて嬉しいです、お父さん』  父は瑞姫ちゃんにハグをされたまま泣いていました  瑞姫ちゃんは一瞬で頑なだった父の心を溶かしてしまったのです
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