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「原宿…なんで？」
驚いて立ち止まる私の背を手で押しながら
慧ちゃんは大通りを表参道方向にずんずん進んで行く
そして、大通りから小さな道を入った
オシャレな建物の前で慧ちゃんは足を止めた
「さ、着いたよ」
そう言って建物のガラスのドアを押し
私を店の中へ入れた
「いらっしゃいませ！」
甘いフレグランスの匂いと若い女性の声に迎えられ
私は見たことの無いシャンデリアキラキラのヘアサロンに居た
「おっ！寺島く〜ん待ってたよ
この子が君の姪御さんなの？」
奥からカリスマ美容師の匂いをプンプンさせた
いかにも業界っぽい男性が笑いながら私達の前にやって来た
「うんそうなんだ。
今流行りの可愛い髪型にしてやって貰える？」
慧ちゃんが親しげにその美容師に話しかける
「おいおい、寺島君
この子ダイヤの原石じゃん
もしかしてモデルにするつもり？
久しぶりに見たな、こんなに綺麗な顔の子」
その美容師は私のメガネを外し、そう言うと
そのまま私の手を取り店の奥に連れていく
「いやいや、何もVIPルームじゃなくて
その辺で簡単に切って貰えれば良いんだよ」
慌てて私達を追ってくる慧ちゃんに向かってその人は手を振った
「気にしないで良いからさ、特別料金なんて取るつもり無いし
とにかく寺島君はそのソファーでコーヒーでも飲んでいて
３０分くらいで終わるから」
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