2564人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
「よっ!寺島!
どうした?お猿カットは辞めたのか?」
昇降口で上履きに履き替えていると、
またうざったい奴が話しかけてきた
無言で行き過ぎようとすると後ろから文句が聞こえる
「ちょっと待てよ〜無視はないだろ」
白石智史(しらいし さとし)
同じ2年A組のクラス委員でサッカー部所属
誰とも分け隔てなく接する態度、
既に175cmはある身長に精悍な顔のスポーツマンということで
女子生徒は勿論、男子生徒からの人気も高い
なのに、私にはやたらと絡んでくる
165cmの身長を「デカイ女」と囃し
短くカットされた髪を「猿」と呼ぶ
授業が終わればすぐ帰る、帰宅部の私を
「面白みのない奴」と決めつけた
だから、いくら周りの評判が良くても私は嫌いだ
話すことさえ億劫だと思っていた
「白石の奴、瑞姫が髪を伸ばして
可愛くなったのを早速気づいたな〜
あいつ、瑞姫のこと好きなんだと思うな」
いつの間にか隣を歩いていたサリナが私の肩をツンツンと指で押した
「止めてよサリナ、あいつだけは無いから」
最初のコメントを投稿しよう!