さおりの存在

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暫くの旅行のつもりが気づけば 海外での活動が6年目に差し掛かっていた そんなある日 いつもの様に仕事に出かけ フランスの出版社で旅行誌の写真を確認していた俺に 電話が掛かって来た 東京で売れっ子CMディレクターになった大学時代の悪友からだった 「おう片瀬、久しぶりだな!  どうした電話なんて1年ぶりか?」 懐かしさで俺の声が弾む 「慧斗!大変だ  お前の兄さん夫婦が車で走行中崖崩れに会い  お兄さんが亡くなり、奥さんは意識不明の重体だ  奥さんの元マネージャーと言う人から連絡が俺のところに来て  とにかく、帰国してもらいたいということだ  あちらの連絡先は後でメールする」 兄貴が死んだ?嘘だろ さおりが意識不明の重体⁉︎ こ、子供が居たよな 12歳になる頃だ 子供は今どうしているんだ 俺は取るものもとりあえず 仕事を整理して直ぐ日本に向かった 成田へ向かう飛行機の中で俺は浅い眠りの中 ある夢を見ていた
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