その3 画廊の男(side慧斗)

21/24
2565人が本棚に入れています
本棚に追加
/342ページ
 あなたはこれから娘の才能が花開く様に  サポートしていく役割があるのですから  元気を無くしている暇はもう無いのですよ』 父は驚いた顔で立ち上がり私の両肩を揺すりながら 喜びの涙を流していました 『それは本当か?  私には娘がいて絵の勉強をしているというのは!  その子は元気にしているのか?  親を無くして寂しい思いをしているんじゃないのか?』 心配している父に私は言いました 『さ、父さん 応接間に行きましょう  瑞姫ちゃんが待っています』 その時の父の顔は今まで見たことがない 幸せな顔をしていました 父は私を急かせるようにして応接間に向かいました バタンと勢い良く開いた音に瑞姫ちゃんは驚いて 立ち上がりこちらを見ていました 父は瑞姫ちゃんを見るなり ぽろぽろと涙を流し泣き出しました ゆっくりと瑞姫ちゃんに近寄ると 「あ〜さおりにそっくりだ  いや、お母さんより美人かもしれないね  夢みたいだよ  こんなに美しい女性に育ってくれていて・・・  瑞姫ちゃんて言うんだってね  本当にすまなかった。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!