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おっさんの言う意思疎通が成り立っているかはともかく、会話できているのは不思議な話だ。
「実に単純だ。私はご主人に呼び出された。従って私にはご主人の願いを三つ叶える義務が発生している。さあ、何でも望みたまえ。叶えられる範囲で叶えようじゃないか」
「そう言うのって、ランプから出てくるんじゃないの?」
「何だと? 随分と視野の狭いご主人に当たったものだ。それならば尋ねるが、人間の見た目や出自は全て同じかね? 全員紙切り人形のように、紙束から切り出されたように同じか?」
「いや、違うけど」
「そうだろう。我々魔人だって同じだ。人のような姿をして、人にあらざりし力を振るう。それが魔人というものだ。確かにランプの魔人は知名度が高い。能力も高い。だからと言って、それだけが魔人と呼ばれるに相応しいと? 君達の世界には天才しかいないのか? どうだ?」
「……違います」
キイキイとした声で正論をブチかまされる辛さよ。
「ひょっとしてとは思うが、ご主人は差別主義者じゃあるまいな。貴族以外は豚の排泄物でも食ってろ的な思想の持ち主ではあるまいな。だとすれば、私にもそれ相応の対応というものがあるぞ。人間などというものが、魔人の前でいかに無力であるかをまずは叩き込んでくれようか」
「待って待って。違うから。差別主義者じゃないから」
ていうか、おっさんも人間を一括りに無力と言い放っているけれど、それは差別とは違うのか?
事実だから良いとかそういう事?
突っ込んで話が長くなると嫌だから黙るけど。
「そうか。ならばいいんだ」
「随分あっさり引き下がった」
「熱しやすく冷めやすい。それが金属というものだご主人」
材質かよ。魔人としての性格とかじゃないのかよ。
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