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「いやあ、最終的にお役に立てて良かった」
「え?」
「これで三つ叶えた。私の役目もおしまいというわけだ」
いやいや、肉じゃがの件一つしか片付いてませんけど。
「一つ目の依頼は大金を持ってこいだった。ご主人がキャンセルしたが、受理後だからな。そして、もう一つは肉じゃがを取って行った犯人を連れてこい。これはこの世に存在しなかったが、受理はした。最後が肉じゃがを取り戻してくれ。これは無事達成。これで三つだ」
「取りやめは望みの数に入れないんじゃ……」
「そんな事はどこにも書いていない。新しい望みとしてキャンセルを数える事はない、というだけだ。受理した以上、望みは一つ消費される」
曲解は困るな、ご主人、と魔人にため息交じりで言われたのだが、腹を立てても良いもんだろうか。
「それでは、短い時間だったが楽しかったぞ。もう会う事もあるまい。私が守った母の味を、存分に楽しんでくれたまえ。さらばだ、ご主人」
現れた時と同じように、ぼんっと小さな爆発が起きて、おっさんは目覚まし時計に戻った。
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