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翌日。
朝七時過ぎにまたもや目が覚めた。
特に誰が来たわけでもないので不思議に思いつつ、布団を出て一つ伸びをする。
ぐう、と腹が音を立てた。朝から我が体は健康そうで何よりである。
それでも先にシャワーを浴びたくなるのは昨晩酒を飲んだからだ。
身支度を整え、さっぱり目が覚めたところでお楽しみの朝食だ。
ウキウキしながら冷蔵庫を開けたところで、異変に気付いた。
「ん?」
小さな冷蔵庫だ。
大振りなタッパーは目立つ。
にも拘らず、昨日納めたはずの場所にはそれが無かった。
「あれ?」
冷凍庫に入れたかな、と思い開けるがそこに待っていたのは霜ばかり。
もう一度冷蔵庫を開け、隅々までくまなく見回す。
野菜室の中ものぞいたが空振り。
酔っぱらって食べきったのを忘れたか、と洗いカゴの中も見た。
だが、どこにも無い。
タッパーも、肉じゃがも。どこにもその姿は見当たらなかった。
「何で……」
泥棒、というキーワードが頭の中にポンッと浮かんだ。
玄関のドアを見る。きちんと施錠されていた。窓にも破られた形跡はない。
慌てて貴重品の数々……主に財布を調べる。カードの類は全てあり、免許書、現金にも変わったところは見られない。ゲーム機もあるし、爺さんのガラクタ達も昨日と変わらずそこにいた。
まさか、部屋の中に犯人が潜んでいるのか、とクローゼットや押入れ、トイレに風呂場の戸を開けて回ったが、誰の姿も気配もなかった。
つまり、昨日から今朝にかけての間に、俺が食べかけた肉じゃがだけが容器ごと綺麗さっぱり消えたのだ。
「どういう事だ……」
警察を呼ぶべきだろうか。
いや、呼ぶべきなのだろう。何はともあれ、物が消えているのだから。
だが、侵入された形跡が無く、貴重品も手付かずという状態が、俺の心に二の足を踏ませていた。
食べたのでは、と真顔で尋ねられても恥ずかしい。
だが、諦めきれないのも事実。あの肉じゃがはそう滅多と食べられるものじゃないのだ。今日も食べようと楽しみにしていただけに、悔しさは大きかった。
何か尋ねられても胸を張って答えられるように、今一度冷蔵庫に限らず部屋中を探し回った。だが、肉じゃが入りタッパーはおろか、ジャガイモの欠片一つ出てこなかった。
いよいよ警察を呼ぶしかない。そう思ってスマートフォンを取り出したその時だ。
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